コロイデア音楽塾のギター講師、choroです。
初心者はもちろん、バンドマンなどプロを目指すギタリストもレッスンを受講しているんですが、「実際どんなことを教えているか?知りたい!」と聞かれることも多いので、レッスンの一部をこちらで公開したいと思います。
目次
バンドマン達の悩み

バンドマンで、レッスンを受講しにくる理由としては、「ギターの技術を向上したい」「表現力を身に付けたい」「アレンジのバリエーションを増やしたい」と習いに来る方が多いです。
バンドの曲があれば、その曲のプレイを見て、例えば「ここはチョーキングにしたほうがいい」とか「ここはハンマリングにしたほうがいい」とか、そういったふうに元のフレーズのメロディは変えず奏法のアプローチをアドバイスしています。
新曲のアレンジの修正
今回は、弟子のひとりであるab initioのギタリスト 野村将寛が、バンドの新曲のギターアレンジに悩んでいるところだったので、その時のレッスン内容を公開しようと思います。
▼ちなみに、彼のバンドはこんな感じ


ふむふむ、なるほど。
これは、いろいろ手の付けようがあるねぇ。
アレンジが悪いんじゃなく、表現が悪い
今回は、サビのフレーズに悩んでいたので、そのサビのフレーズを譜面に書き出してみました。
合わせて、音も聴いてみてください。

▲サビのギターフレーズ
フレーズ自体は悪くない
「あまり、かっこ良くないなぁ」と感じた方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
もし、そう感じた方は、アレンジを考える時、ついついメロディだけ並べて聴いて、かっこ悪いとか、バックサウンドに合っていないと感じてしまって、また違うアレンジを考えて、だけどハマらなくて…という、アレンジ作業のループに入ってしまいがちです。
大事なのは、アーティキュレーション
「アーティキュレーション」とは、音の形を整たり、音と音の繋がりに様々な強弱や表情をつけて音色を表現すること。
バンドや生演奏が、表情豊かで素晴らしく感じられるのは、この細かなアーティキュレーションがあるからなんです。
先程の音源は、打ち込みのギター音ですが、ただ打ち込んだだけで音の強弱も特別な奏法もなく、いわゆるメロディの棒読み状態。
ギターアレンジを考える時に、そんな棒読みフレーズを作っていては、いつまでもかっこいいフレーズが出来上がるわけがありません。
どんなメロディか?ではなく、どんなイメージか?が大事!
野村が持ってきた新曲に関しては、聴いてみると「オリエンタル」「浮遊感」というワードが出てきました。
こんなふうに、先に楽曲のイメージを出してアレンジを考えることが大事です。
ここで、「オリエンタルな雰囲気のアレンジ」「浮遊感のあるアレンジ」と、アレンジという言葉に囚われてしまうと、いつまで経っても良いメロディを考える作業に気を取られてしまうので、先ほどお話したアーティキュレーションについて考えていきましょう。

▲先ほどのサビのフレーズ
▼これをこんなふうに弾き方を変えてみます

フレーズ前半を、ハンマリング・プリングからスライドに変えることで音の曖昧さを出し、浮遊感を演出。
また、その後の1弦12フレットにビブラートを加えることで、オリエンタルな雰囲気が出てきます。
▼変更前のサビフレーズ
▼変更後のサビフレーズ
どうですか?
たったこれだけでも、フレーズに大きな違いが感じられますよね?
最初にアレンジされたメロディは変わっていませんし、どちらも打ち込みで作ってます。
打ち込みでこういった表現を加えても、これだけ変化があるのですから、生演奏であればもっと幅広い表情をつけることができます。
アーティキュレーションまでがアレンジ

「かっこいいアレンジができない」
そんな悩みを持ったギタリスト多いですが、実際はアレンジ自体はかっこいいのに、ギターの表現で言うと「スライド」「ハンマリング・プリング」「チョーキング」「ビブラート」といった奏法を上手く絡めずにただ棒弾きしているからかっこ良く聴こえないという場合がけっこう多いです。
「アレンジを考える」というと、ついついリズムとメロディを考える段階で終わってしまいがちですが、一番大事なのはアーティキュレーション。
そこまで考えてこそ、本当のアレンジです。
改めて、今まで考えたフレーズを見直して、それがかっこ良い聴こえ方になるまで色々と試行錯誤してみましょう。
リハの音源もってきたんで聞いてください~。