先日、目標を書いてきてもらった20代女子の続きのレッスン。

あまり、通常のギター教室やレッスンではこういうことをしないのかもしれないけれど、グループレッスンじゃなく、マンツーマンレッスンでやらせてもらってるのだから、こういったカウンセリング的な授業を大切にさせてもらってます。
実際に習いに来ている生徒を見ていても思うのだけれど、上手な人や上達の早い人ほど、ギターの技術を学びに来ないんです。
ギターとの向き合い方を学びに来るんです。
僕自身、たくさんのプロギタリストや、たくさんのギターの上手い人達を見てきていて、やはり注目するのはギターの技術ではなく、ギターとの向き合い方の共通点なんですよね。
だけど、これがギターを教える立場になるととても複雑で、ビジネスとなるとさらに複雑で、僕は今まで何人も生徒を失ってきているなぁと思います(笑)
「ギターが上手くなりたい!」と言われたら、今まで馬鹿正直に信じてしまって真剣に教えていたのだけれど、ギターを習いに来る人には色々なタイプがあります。
プロを目指している人、趣味としてやりたい人、ライフワークとして習い事をしたい人、上手くならなくてもいいからレッスンを楽しみたい人。
最近は、その辺を言葉に惑わされずに見極められるようになったので、その希望に合わせたレッスンができるようになってきたから、あまり苦労はないのだけれど、プロ志向でも趣味志向でも「本気でギターが上手くなりたい」人に関しては、昔と変わらずそのための最良の方法を教えるわけです。
そんなわけで、先日は前回のカウンセリング的な話を30分ほど、練習曲のレッスンを30分ほどという感じのレッスンでした。
タイトルの「ギターをたくさん練習する人ほど、上達しない」というのは、正確には練習量ではなくて、感情の話。
「楽しい」という気持ちで練習すれば上達するのですが、「辛い」という気持ちで練習していてはなかなか上達が望めません。
不思議なもので、楽しければたくさん練習するのはわかりますが、辛くてもたくさん練習してしまうんですよね。
「なんでこんな簡単なことができないんだ」
「自分はなんて出来が悪いんだ」
と考える思考回路が出来上がってしまうと、練習をする度に辛くなっていき、いずれ練習しなくなっていってしまいます。
こういう方はかなり多くて、年齢が上がれば上がるほどその傾向は強くなります。
レッスンをしていても、この価値観が問題で一向に上手くならなかった人を見ていますから、ここを改善するのがとても大事だと感じています。
大人になると知識も増えるし、できることも増えてしまうから、新しく覚える物事に対しても簡単にできるように錯覚してしまうんです。
大人は技術より知識を身につけることが多いですから、この傾向は強くなります。
ですが、知識は一日で身に付いても、技術は一日では身に付きません。
赤ちゃんがハイハイして、立って歩けるようになるまでに1年近くかかるのを、出来が悪いと言っているようなものです。
だから、まず子供に戻って、
「立って歩けるだけでもすごいことなんだ」
「それだけ時間がかかることなんだ」
と感じられるようになることが大事です。