ペンタトニックスケールは覚えたから、アドリブを弾こうと思えば弾けるけど、どうしてもプロのように音楽的にかっこいいアドリブにはならずに、ペケペケとただスケールをなぞっただけのフレーズになってしまう…。
コロイデア音楽塾へレッスンを習いに来る方にも、そんな悩みを抱えている方が多いです。
スケールが弾けるから、指が速く弾けるから、それとイコールでかっこいいソロが弾けるとはなりません。
一番大事なことは、音楽的な理解や感性が備わっているかということです。
なので、ここではどのような構成でアドリブを弾けば、かっこよく聴こえるかについて解説させていただきたいと思います。
音楽の基本は起承転結
音楽といわず、映画、小説、マンガ、お笑いなど、ストーリー性を持つモノの基本は「起承転結」で成り立っています。(動画0:00~解説)
物語のはじまりがあって(起)、そこから発展していって(承)、ある場面で急展開がおこり(転)、最後になるほどというオチがある(結)。
あなたの好きな映画や小説、マンガ、お笑いなどをもう一度見返してみてください。
内容は違えど、必ずこの「起承転結」の流れになっているはずです。
この「起承転結」の流れがしっかりできている物語は、面白く、スリルがあって、ストーリー性を感じられるんですよね。
そして、これは音楽の構成、ソロの構成で考えても一緒です。
音楽の起承転結とはなにか?
では、音楽においての「起承転結」について考えてみましょう。
一番オーソドックスなパターンの構成を取り上げてみました。(動画1:19辺り~)

▲このように、起承転結の繰り返しでできています。
これで「なるほど!」と理解できたあなたは優秀です。
しかし、他にも「起承転結」は隠れています。

▲大きな「起承転結」の中に、小さな「起承転結」が含まれている(動画1:40辺り~)
このように、1曲通しての「起承転結」があり、その「起」の中にもさらに「起承転結」があり、そのようにいくつもの階層で「起承転結」が成り立っています。
▼つまり、ギターソロの中にも「起承転結」が存在するということです。
そして、「起承転結」が存在することが最も自然で、美しいということですね。

起承転結をイメージしてソロを弾く
では、今までの解説を踏まえて、「起承転結」を意識してアドリブを考えていきます。
順を追って説明するために、まずはアドリブ初心者が弾きがちなフレーズから発展させていきましょう。

▲アドリブ初心者が弾きがちなソロフレーズ(動画2:52辺り~)

▲起承転結に分けるとこうなる
このように、8小節を2小節ずつ「起承転結」に分けて考えていきます。
このアドリブソロのチェックするポイントは4つ。
1.起承転結になっていない
→起と承で弾きすぎない。リズムも音数も少なくすることが大事です。
▼思いきって、2小節目と4小節目をカットしてしまいましょう

これだけでも、先程よりグッと締まった演奏になったのが感じられるはずです。(動画5:22辺り~)
しかし、まだまだ変更するポイントはあります。
2.起と承が続いてない
→起と承は繋がりのある流れなので、同じ音数だったり、似たようなフレーズにすることが大事です。
▼なので、このように起と承を関連性のあるフレーズに変更します(動画6:50辺り~)

3.転で変化がない
→ここで初めて使う音程だったり、音数を増やしてあげることが大事です。
▼このように「転」のところで、「1、2弦の音を初めて弾く」「音数を増やす」ことを意識したフレーズに変更しました。(動画8:32辺り~)

4.結で終わり感がない
→終わった感じを演出するために、最初のうちは1音で潔く締めてあげるのがベストです。
▼7小節目頭の音だけ弾くことにして、それ以降の音は全てカットします。(動画9:56辺り~)

手を加えすぎて、見づらくなってしまったので、改めて書き直した。
4つのポイントを全て変更して最終的にできたフレーズがこちらです。

▲起承転結のポイントを押さえたソロフレーズ
▼アドリブ初心者にありがちなソロフレーズ

改めて、変更後のフレーズと変更前のフレーズを聴き比べ、弾き比べしてみてください。
変更後のフレーズのほうが、音楽的に美しい、かっこいいと感じるはずです。
いきなり、こうやって起承転結ができた状態でアドリブを弾くのはなかなか難しいので、最初は自分のアドリブを録音してみて、それを聴いてこんなふうにリアレンジしていく作業を作ってあげると、グッとアドリブ力が上達しますよ。