プロのエンジニアはオートチューン、ボリューム、ディレイのセンド量などオートメーションで巧みに操り、EQ(イコライザー)やエキサイターなどを使って歌の聴こえ方をクリアにする処理をしています。
実際に使ったプラグインを画像と共に手順を追って解説していきたいと思います。
ここではボーカロイドを扱っていますが、ボーカル、バンドサウンドの音作りの参考にもなると思いますのでぜひ知識として取り入れてもらえれば幸いです。
目次
今回使用した楽曲はこちら
↓ボカロ曲「井ノ頭線」。作曲者はロックバンド Jeeptaのchoro。
↑この曲のミックス、マスタリングが完成するまでの全工程を対談方式で解説していきます。
ミックス講座のカテゴリーはこちら
【ミックス講座】ボカロ曲「全力症状」カテゴリー
【ミックス講座Ⅱ】ボカロ曲「井ノ頭線」カテゴリー
ボーカロイド編集テクニック

【上原翔】
では、choroさんから受け取ったデータで、ボーカロイドはどのように処理したか解説していきます。
まず、今回の曲調としてバラード系で、歌も結構ストレートに歌う感じにうまく打ち込んであったので、それほど細かく処理しなくても大丈夫でした。
声の素材は「ベンドの深さ」が8%の方が曲に合っているように思ったので、そちらを使っています。
まず、ボリュームのオートメーション類の処理ですね。
まず初めに、元の状態ではA類のボリュームが凄く大きかったので、フェーダーではなくて、リージョン自体のボリュームを下げました。リージョンから下げないと、Aだけすごくプラグインのコンプが掛かるという状態になってしまうので。
ボリュームが上がっているところがサビの部分ですね。サビになるとオケのボリュームも上げているので、ボーカロイドの音量も上げています。
ボーカロイドは音量の起伏があまり無いので、それほど細かくオートメーションを書かなくても大丈夫でした。これが人間の声だと、小さい所や大きいところの差が大きいので、コンプで補正しきれないところは細かくオートメーションを書いていきます。
余談ですが、僕はあまりオートメーションを細かく書かないタイプなので、書くといってもしれています(笑)細かく書けば良いってものでもありませんが。
下側のセンド2となっているオートメーションはディレイのセンド量のオートメーションです。上に上がれば上がるほどディレイの掛かる量が多くなっていきます。
これはよく使う手なんですが、サビで歌のディレイを上げてよりサビに広がりを持たせるというやり方です。バラード系ではよく使います。
ただ、あくまで、あからさまに分からないようにするのがポイントかと思います。聴感上は静かな所と盛り上がってる所での残響量が同じくらいになっているのが良いかと思います。
次はボーカロイドのピッチです。
今回も前曲同様にオートチューンでピッチを少し調整しました。
赤い線が元のピッチで、緑の線が修正した線です。

今回の曲では、ピッチを修正したのはサビの部分だけです。Aなどの静かに歌うところでは現状の淡々としている感じがよかったのでそのままにしています。
サビでは少しA等に比べて勢いよく歌っている箇所なので、あえてピッチをほんの少し上げています。人間って勢いよく歌う所はピッチも少し上ずれるんです。それをシュミレートした感じですね。
すごく微妙な差ではあるんですが、こういった細かい事の積み重ねが結構大事です。
では最後に今回のボーカロイドで使ったプラグインを解説します。
前回も使ったMV2ですね。設定は控えめで、ほんの少しボリュームを慣らす程度です。
さらにコンプ。MV2は多少アタックが無くなるので、これで戻すのと多少音を慣らすという意味でもう一段コンプを掛けています。
EQ。ボーカロイドにしては少し低めの音域だったので、中低域が大目に出ていたのでそこをカットしています。あと抜けも多少悪かったので、高域を上げています。最後にエキサイター。これは声の高域に倍音成分を足すエフェクターなのですが、これをきつく掛けていくとシャーシャーといった音が大きくなり多少ハスキーな声質になっていきます。今回オケのザラっとした感じに合わせたかったのでこれを使ってみました。
ボーカロイドの解説は以上です!
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