ロックバンド Jeeptaのギタリストが語るオリジナル曲の作り方、バンドサウンドにおける曲作りの極意、作るパートの順序、楽器の順番、コードの付け方、かっこいいフレーズやリフを作る方法について語ってます。
行き詰まりを感じる、上手くできない、思いつかないとお悩みの方は、参考にしてみて下さい。
ドラム、ベースなどの打ち込みにはDAWソフトのCUBASEを使っています。
目次
この楽曲が完成するまでの作業工程をお見せしています
では、対談形式で、ミックスが完成するまでの流れをご覧ください。
上原
まず初めに、デモのギターが結構いい感じで録れていたので、エンジニア的にはどういう環境で録ったのかが気になりました。choroさんの録音環境やDAW環境はどういった感じなのでしょうか?
choro
DAWソフトは、Cubase Studio5を使ってます。オーディオインターフェースは、EDIROL UA-25です。
上原
Cubaseなんですね! 僕はミックスではNuendoを使ってるんですが、よく考えたらCubaseとNuendoではセッション互換があるので、オーディオデータやMIDIデータを個別に書き出してもらわなくてもセッション同士でやり取りした方が効率良かったかもですね(笑)
choroさんが始めにデモで録っているギターの音もいい感じだったので、宅録環境だけでも十分なクオリティで出来そうな気もしますね!
choro
え? セッション互換(※)があったんですか? 言ってくれれば良かったのにー! それだけで、かなり作業が楽になるじゃないですか。
(※)セッション互換・・・choroさんと上原さんがお互い同じDAWソフトであれば、choroさんのPCで作業したものがそのまま上原さんのPCで同じ状態で作業できる、ということ。
元々、バンドに持ってくデモ用に使っていたので、今回エフェクトやソフト音源、ミックスなども少し真面目にやりました(笑)
上原
レコーディングの時にお互いの環境を話したような気もしますが、その時はセッション互換があるという事を忘れていました(笑)
ベースは実際のミックスでchoroさんからもらったオーディオデータを使ったのですが、それはどういう音源を使ったんですか?
choro
ベースはCubaseに入ってたソフト音源「HALionONE」の「PickBass」を使いました。それに、ソフト内のアンプシュミレーターとコンプレッサーを使って音作りしてます。
上原
元から付いてくるソフト音源って使えるのが結構多かったりしますね。パッと聞きあんまり良くなくてもも、音に癖が少ない場合が多いのでミックスがしやすかったりします。
choro
あまりパラメーターのメモリを回すと、人工的な聞こえになっていきますが、シンプルに使う分にはかなりクオリティ高いですよね。
上原
choroさんは作曲するときの元は何から作るんですか?
人によって様々だと思うのですが、やっぱりchoroさんはギタリストなのでギターを弾いて作っていくのでしょうか?
choro
今回の曲に関しては、イントロのギターリフのフレーズが一番最初です。でも、一番作曲で多いパターンは、ドラム、ベースから作っていくパターンが多いです。
特に、リードギターはウワモノと言われるくらいですから、無くても成り立つものだと思っているので、曲作りで一番こだわるのはベースのライン、ドラムのリズムです。
メロディから作ることもありますし、コードから作ることもあります。あまり、こだわりはありません。
上原
今回の曲はイントロのギターリフのフレーズからだったんですね。そのリフの世界観からコードやメロディなどを付けて派生させていくような感じになるんでしょうか??
choro
あまり、リフの世界観が最初からあるってことは無いですね。
まず、リフに色んなリズムのドラムやベースラインを重ねてみるんです。それだけでリフの聞こえ方が変わりますからね。
コードは最後に付けることが多いです。世界観を最初から持ってるっていうより、見つけ出すって作業ですね。
実際、出来上がった曲は明るい感じですが、コード、リズム、ベースライン次第で悲しいリフに聞かせることも可能ですよ。色んなバージョンで試してみて、リフに一番合った世界観を広げていきます。
今度そのうち、その段階からお見せしていきましょう。
上原
なるほど。リフのフレーズ自体に世界観が最初からあるという事は無いというのは面白い話ですね。
リフに対して色んなバージョンを試しているといった、デモが出来る前のさらに前の段階というのも興味ありますね(笑)
デモの段階で、テンポ変更したものがいくつかあったと思うのですが、テンポを変えると曲の印象はどう変わるのかというのを教えてもらえますか?
choro
どう変わると言われると、説明が難しいですが、曲の印象は変わります。それに同じテンポでも、アレンジ、演奏者によって感じるテンポ感も変わります。
元々は、メロディはボーカロイドじゃなく、楽器の音で打ち込んでいたので問題はなかったのですが、ボーカロイドで打ち込んだら、テンポが少し早すぎて言葉が聞き取りにくかったんですよね。
スピード感としては最初のテンポが良かったんですが、歌を殺してしまうので、スピード感を損なわないギリギリのところまでテンポを下げた感じです。そして、テンポで失ったスピード感を、演奏やミックスで理想のテンポ感まで戻したって感じですね。
上原
なるほど。やはり歌詞が聞こえないと歌の意味がないですからね(笑)
歌詞とメロディーの当て方なんですが、choroさんの場合は歌詞が先に出来るのか、メロディーが先に出来た上で歌詞を載せるのかどちらでしょうか?
choro
特に、ここ最近の音楽って、ポップもロックも歌詞がフォークソングみたいだなぁって思うから、また詞先の時代が来てるのかもしれないですね。
上原
そうなんですね。メロディに歌詞を乗せるのって難しそうだなと毎回思ってるんですよね。
ところで、choroさんのギターリフのフレーズって独特の個性があると思うんですが、その作り方の秘密をぜひ知りたいです(笑)
choro
たぶん、ギターのフレーズ作りの基本だと思うんですが、基本的にギターは弾かずに作ります。息継ぎのない楽器で作ると、歌心がなくなりますからね。
なので歌って作ることが多いですが、打ち込みのピアノで作る時もあります。これも、ギターで弾いてしまうと表現力で良さげに聞こえてしまうのを避けるためです。
打ち込みのピアノのような、単調で味気ない音でもフレーズとしてかっこよければ間違いないですから。
上原
実際、ミュージシャンの方にフレーズの作り方を聞くという場面はそうそうないので、ギターを弾かずにフレーズを作るというのは大変驚きました!息継ぎのない楽器で作ると、歌心がなくなるというのは興味深いですね。
やっぱり息継ぎというのがフレーズにとって重要なんでしょうか??
choro
どうしても、最初のうちってフレーズを作る時、音の鳴ってるほうばかり気にしがちですが、音をどこで切るかのほうが重要だと思います。
サックスなどの息を使う楽器は息継ぎが必要なので自然に休符が入りますが、弦楽器は気をつけないとずっと弾いてしまいがちです。
歌心を感じるフレーズって、実際歌ってみると、ちゃんと適度なところで息継ぎするタイミングが入ってますよ。
上原
たしかに、音を切るタイミングってかなり重要ですよね。音の長さや休符をどこに入れるかによって曲のグルーヴがかなり変わってきます。
ちなみに素朴な疑問なんですが、「かっこいいフレーズ」というのはどういう事なんでしょう?
みんな自分が思いついたものに対してこれは本当にかっこいいのか?って悩むと思うんですよ。choroさんとしては、これはかっこいい!これならOKだ!っていうタイミングはどういうところにあるんでしょうか?
choro
最初かっこいいと思ったフレーズでも、曲作りの段階で何十回と弾いたり聴いたりするわけですから、どっかで聴いたことがあるように感じたり、飽きが来てしまいますからね。
「かっこいいフレーズ」って意識すると、それって人が聴いてかっこいいかどうかってことを基準に考えてしまいがちになるんです。だから、最終的には、かっこいいかどうかの概念じゃなく、自分がそのフレーズが好きかどうかで判断するようにしています。
上原
たしかに、自分がエンジニアとしてミックス作業をしていても、これが本当にかっこいいか?という事の自問自答の繰り返しですね。僕も迷った時こそ自分を信じて単純に自分が好きかどうかという事を1つの判断基準にしています。
なかなかミュージシャンの方にこういったこみいった話を聞く事もなかなかないので、とても興味深い話が色々聞けました!ありがとうございました!
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